自助グループ(セルフヘルプグループ)の説明
(ここに書かれていることは、すべてみちしるべの個人的見解です。)
アディクション(依存症)の影響から、たった一人の力で回復していくのは、非常に困難です。しかし、同じ問題を抱えている仲間と、自らの体験を分かち合うことにより、より容易に回復への道を歩むことが可能になります。
自助グループによってまず得られるのは、これまでにない安心感です。
もし、あなたが自分に正直になって、あなた自身のことを語ったとき、あなたの話は、深い共感を持って受け入れられるでしょう。そのときあなたは、自分はここにいてもいいのだという安心感を全身で感じることができるでしょう
しかし、自助グループに通い始めた頃は、自分で話をすることよりも、仲間の話を聞くことを大切にする方がいいかもしれません。「初めは足を使え。次に耳を使え。最後に口を使え。」という言葉もあります。例えあなたが一言も話をしなかったとしても、あなたは大切な仲間として受け入れられるはずです。
やがて参加者は、安心感だけではない、より大きな力が働いて、自分が少しずつ変わっていくのを実感することになるでしょう。それは、他の場所では、決して得られない力です。
もちろん、誰もが初めて自助グループに参加したときから、安心感が得られるとは限りません。ある人は、私のような者がここにいていいのかと感じ、ある人は、私はこんな所にくるほどひどくはないと感じます。第一印象で決めつけずに、何度か参加してみてから、自分に向いているかどうか決めるとよいでしょう。
また、回復のスピードも自分で期待しているほど、劇的なものではないかも知れません。それでも、焦る必要はありません。本人は気付いていなくても、他の人から見ると、大きく回復している例もあります。
いずれにしろ、自助グループに参加するかしないかは、完全に本人の自由意志に任されています。それでも、特にアディクションを持っている方については、自助グループに参加することを、強く勧めます。なぜなら、自助グループに参加し続けることは、ある意味生きていくことそのものだからです。例えて言うなら、アディクションのある人が定期的に自助グループに参加することは、腎臓病の人が定期的に人工透析を受けるのと同じです。自助グループに参加するのをやめることは、腎臓病ほど急激ではないにしろ、死に至ることを意味しているからです。
- 自助グループとは
- ここで言う自助グループとは、アディクションやACの問題から回復するため、自分の体験を分かち合い、支え合うためのグループを指します。
自助グループの主な活動は、ミーティング(定期的な集まり)内での「言いっぱなし、聞きっぱなし」による分かち合いや、同じ問題にまだ苦しんでいる人へのメッセージ活動などです。そのほか、セミナーなどを催しているグループもあります。
”自助”グループであるという性格上、専属のカウンセラーや医師などは置いていません。ただし、一参加者としてカウンセラーなどの職業にある人が参加することはありますが、立場は、他の参加者と平等です。
ほとんどの自助グループでは、会費を取っていません。ただ、グループを維持していくための献金を受けているところもありますが、献金をするかどうかは、あくまで本人の意志に任されています。
- どんな人が参加できるのか
- 自分自身にアディクションの問題やACの問題があると感じている人ならば、誰でも参加できます。参加するに当たっての入会審査などはありません。
なお、「オープン」のミーティングには、本人だけではなく、家族や関係する援助者等も参加できます。
- アノニミティ(匿名性)について
- 多くの自助グループは、アノニマス(匿名)です。アノニミティによって、グループ内でメンバーの平等性やプライバシーが保証されるとともに、グループ内でのパワーゲーム(勢力争い)を防止することができます。つまり、アノニミティによってグループのメンバーもグループ自体も守られることになるのです。
なお、アノニミティは、メンバー間で決して本名を明かしたり連絡先を教えたりしないと言うことではありません。自分で安全だと思える範囲内で、他のメンバーに自分のプライバシーを明かしてかまいません。
- ミーティングについて
- ミーティングでできること
- 仲間の話を聞くこと。
- 自分自身の体験や思いを(ミーティングの範囲内で)自由に話すこと。
- 話をしたくないときは、パスすること。
- 居づらくなったら中座すること
- 用意されている飲み物等をセルフサービスで飲むこと。
- グループの維持のため献金すること。
ミーティングでしてはいけないこと
- 他のメンバーの話に対して個人的に意見したり批判したりすること。
- ミーティング内で他のメンバーが話したことをミーティング以外の場で再び話題にしたり、第三者に話したりすること。
- 限られた時間を独り占めすること(全員が公平に分かち合えるよう配慮しましょう。)。
- その他ミーティングの進行を妨げるような行為。
アディクション全般
- アディクト本人やその家族、関係者(ケースワーカー、保健婦等)など誰でも参加できます。
- 対象もアディクションの関係するもの全般に及んでいます。(例:アルコール依存症、薬物依存症、共依存、恋愛依存症、摂食障害、夫婦・恋人間の暴力(ドメスティック・バイオレンス)、児童虐待、引きこもり、etc.)
- 主な活動は、言いっぱなし、聞きっぱなしによる分かち合いや、仲間同士による相談活動です(専属のカウンセラー等はいません。)。
- 全国組織や他県では、セミナー等の活動をしているところもあります。
- AKK(アディクション問題を考える市民の会など
アルコール依存症者の自助グループ
- アルコール依存症者本人が酒をやめ、しらふで生きるために開いています。
- 飲酒を止めたいと思っている人ならば、誰でも参加できます。
- 主なグループとしては、断酒会とAA(アルコホーリクス・アノニマス)があります。
- 断酒会の照会先は、最寄りの保健所。
- AAの照会先は、03‐3576‐2574(午前9時から午後7時まで 年中無休 AA関東甲信越セントラルオフィス)。
アルコール依存症者の家族や友人のグループ
- アルコール依存症者の家族などは、長い間アルコール依存症に振り回されて傷ついています。そのため自分自身を癒し、回復するためのグループです。
- 主なグループとしては、アラノンジャパンやAl-Anon12ステップルームなどがあります。これらのグループは、AAの12ステップを元にしたステップを使っています。
ACのグループ
- アルコール依存症の親のもとで育って大人になった人たちや機能不全家族で育って大人になった人たちの多くが、いろいろな「生き辛さ」を抱えています。このような人たちをAC(アダルト・チルドレン)と言います。ACグループは、AC特有の生き辛さから回復していくためのグループです。
- 自分自身をACだと認識して、ACの問題から回復したい人ならば、誰でも参加できます。
- 多くのグループがAAの12ステップを元にしたステップを用いています。
薬物依存症者のグループ
- 薬物依存は、麻薬、覚醒剤、シンナーなど違法な薬物に依存するものもありますが、市販の薬品や処方薬に依存する例も多くあります。
- 薬物依存もアルコール依存と同じく病気なので、取り締まるだけではなく、治療につなげなければ止めることはできません。
- 薬物依存にもアルコール依存と同じく自助グループがあり、薬物依存をやめたいと思う人ならば誰でも参加できます。
- NA(ナルコティクス・アノニマス)の照会先は、03‐5685‐6128。
- NA長野グループの連絡先は、0268‐36‐1525「長野ダルク」
EA(イモーションズ・アノニマス)
- 感情、情緒面の問題から回復して新しい生き方をしようとする人たちのグループです。
- 自分に感情、情緒面の問題があると感じている人ならば、誰でも参加できます。
- 例えば、次のような人に役立つかも知れません。
- 神経過敏状態・緊張状態・退屈によくなる。
- よくある普通の状態が怖かったりする。
- 気分が大きく揺れるのを経験したことがある。
- 明確な理由もないのによく悲しくなったり泣いたりする。
- 簡単に感情が傷つく。
- ちゃんとした理由もないのに自分が悪いと思うことがよくある。
- いつも疲労を感じている。
- 自分は他人とは違うと感じる。
- ひとりぼっちだと感じる。
- 自分が失敗者のように思える。
- 逃避の手段としてアルコール・食べ物・薬・仕事・テレビを使うことがよくある。
- いつもイライラしていて愛している人に当たり散らす。
- AAの12ステップを元にしたステップを用いています。
摂食障害のある人のグループ
- 摂食障害(拒食症、過食症、過食嘔吐)のある人が、回復するためのグループです。
- 摂食障害から回復したい人ならば、誰でも参加できます。
- 多くのグループがAAの12ステップを元にしたステップを用いています(NABAは、独自の10ステップを用いています。)。
- OA(オーバーイーターズ・アノニマス)の照会先は、〒110-8799 上野郵便局留 OA事務局宛(お返事に少し時間がかかります。)。(注:以前載せていた電話番号は使えませんのでご注意ください。)
- NABA(日本アノレキシア・ブリミア協会)の照会先は、03‐3302‐0710。
ギャンブル依存症者のグループ
- ギャンブル依存は、なかなか病気だと認識されませんが、アディクションの一種です。生活や仕事に支障が出るほどギャンブルにのめり込む、他のために使わなければいけない金まで賭けてしまう、借金をしてまでギャンブルをする、本人のギャンブル癖に家族や周りの人が困っているなどの事態になっていれば、ギャンブル依存症を疑う必要があります。
- ギャンブルをやめたいと思う人ならば誰でも参加できます。
- GA(ギャンブラーズ・アノニマス)の照会先は、090‐4603‐5273。
ギャンブル依存症者の家族や友人のグループ
- ギャンブル依存症者の家族の多くは、ギャンブル依存症が病気であることを知らされず、依存症に振り回され傷ついています。そのため自分自身を癒し、回復するためのグループです。
- ギャマノンなどがあります。
関係者(援助職、医療、福祉、教育等)のグループ
- 関係者は、日々仕事として、クライアントのケアをしている一方で、往々にして自分自身のケアは、疎かになりがちです。また、仕事に熱中するあまり、仕事と私生活の境界線がぐちゃぐちゃになったり、すり切れ燃え尽きたりする危険のある人がいます。これは、本人にとってもクライアントにとっても望ましいことではありません。
- 関係者が、自分自身を振り返り、セルフケアをするとともに魂の成長をするためのグループです。
- 主なグループにAG(アウェイクニング グループ)があります。
みちしるべ
最終更新:2008年9月24日
メールアドレス tao@dia.janis.or.jp