〜森 正夫の山歩き記録〜
第10回 兜岩山(かぶといわやま) 1,368.4m                2014.10.10

 兜岩山は、荒船山群の中で最も西側に位置する山である。国道254号・内山トンネル手前の内山大橋あたりから眺めるその姿は、名の通り兜を伏せたようなどっしりした特徴ある山容である。

 荒船山には二度登ったが、中心部から外れ、下山を田口峠にすると帰りの県道歩きが長くなるため避けていた。また、田口峠からのピストンでは一日の山歩きとしては少し物足りず、中途半端な感じがしていた。

 そこで今回、市川五郎兵衛の出身地、現在の群馬県南牧村(なんもくむら)の見学と合わせて訪れた。これが実に良かった。往復3時間ほどの歩きだが、ナラやブナなどの自然林が多い尾根道は人影なく自然との一体感を楽しめた。

 田口峠のトンネル手前の左側が少し開けた草の斜面になっていて、横に細い沢が流れている。斜面の中央奥に登山口を示す古い案内板が立っているが、注意しないとわからない。そこから崩れかけた木製の階段を少し登ると尾根が集合する広目の鞍部に着く。テープを確認し、左前方の尾根すじに添って登りはじめよう。この尾根は路幅が広くゆったりとしていて気持ち良い。落葉を踏んで高度を上げていく。

 1,264.7mピーク地点の手前から右方向に続く尾根道をテープを確認しながら進む。ここからは尾根通しの歩きとなり、樹林の間から茂来山や御座山を望むことができる。ただし、この尾根はところどころ狭く切れ立った地形があり、また意外とアップダウンや屈曲も多く、思いのほか体力を使うことになる。尾根が屈曲するヶ所が小さなピークである場合があるため、ついトラバースして登降を省きたくなるのが人情だ。しかし、これはやめたほうが無難である。曲った先に支尾根があったりして、下手をするとそちらに迷い込む危険が大きい。ここは正攻法を守り、登降をくり返す事が必要だ。しばらくすると、左側に兜岩山、右側にローソク岩が見えてくる。

樹林の間から見る兜岩山 兜岩山頂 ローソク岩をのぞむ

 登りはじめから1時間30分程で分岐点に着く。ここに標識があり、星尾峠と今来た田口峠への2方向が示されていて兜岩山への案内標識はない。しかし、中央にしっかりした道が続いているので、その道を直進してひと登りすると突然頂上に出る。頂上といっても眺望は得られず何のヘンテツもなく、頂上を示す小さな木製のプレートが木の枝につるされているに過ぎない。これがあの兜岩山の頂上か、と疑いたくなるほどだ。

 しかし、こうした山は、もともと頂上を極めるための山というより、豊かな自然と静かな山歩きを楽しむことができ、何度歩いても心地良い山なのかもしれない。

 帰りにはローソク岩へ立ち寄ってみるのも良いだろう。


   <アクセス>
   第8回 榊山(さかきやま)1257mと海遠点(1200m)を参考に。




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