井上安芸さんから 曽我の参禅はどんな? 2001,4,1,
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わたし、井上安芸と言うものです。
先生の般若経の哲理の解釈を、拾い読みさせていただきました。わたしは、少し和歌を詠む関係で、般若の哲理に関心を持つものです。
先生の文面で、禅の公案もいただかれ、坐禅もなされた、と記述されておられますが、それはどんな公案だったのでしょうか!
また、それにたいする先生のご見解は、如何なるご様子のものとなられたか、お聞かせいただければありがたい、と思います。
先生、業務多忙であられましたら、このメールは元々無きものとおぼしめされて、こころおきなく業務に精励してください。
合掌
井上安芸さんへの返事
メール頂きました。ありがとうございます。
まず最初に、「先生」は止めて下さい。残念ながら、そんな立派な人間ではありません。普通に、曽我さん、と呼んで頂ければ、十分です。
参禅のこと、頂いた公案は、無門関第一則、趙州無字です。
「趙州和尚に僧が尋ねた。狗子(犬ッコロ)に仏性はありますか?ありませんか? 趙州は「無」と言った。」
これだけです。疑問文にもなっていません。確認しようと本棚を探しましたが、なぜか見つかりませんので、うろ覚えの記憶で書きます。他の禅籍の言葉とごっちゃにしていたら、すみません。確か編者慧開は、「有るとか無いとかの解釈をしてはならない。一大疑団(疑問の固まり)となって、熱鉄丸(赤く焼けた鉄の玉)を飲み下すごとく、「無」の一字に参究せよ!」そんな解説をつけていたかと思います。
(「無門関」というのは、公案を集めた有名な本で、いくつかの出版社から原典とか提唱とか出ていますから、仏教書専門店でなくとも、大きな本屋なら見つけられると思います。岩波文庫にもあったかもしれません。私のいい加減な説明を真に受けず、是非きちんと確認して下さい。)
これに対するわたしの答は、随分いろいろと馬鹿なことを言ったりしたりしました。しかし、参禅を始める前に、けして他言しないとの誓約を書いていますので、お話しすることはできません。ごめんなさい。何度も参禅して、応用問題というか、同じ無門関第一則を違う角度からの質問にかえて再度老師から頂きました。「60点じゃ」と言われたのが最後の参禅で、就職やらいろいろあって、それ以降遠ざかってしまっております。
「一大疑団となって、熱鉄丸を飲み下すごとく、「無」の一字に参究」とはとても言えませんので、これくらいで御勘弁下さい。
「業務多忙なら、こころおきなく業務に精励を」とのご配慮、ありがとうございます。ホントに忙しいのです。一時は、大乗経典に登場する居士のように世俗の仕事も仏教も両方見事にこなせるように頑張ろうと思ったこともありましたが、物理的に限界を超えているような状況です。仏教を一番に優先したいのですが、、、。
メールへの返事が遅れていて、皆様に失礼をしています。返事は遅くなることが多いのですが、頂いた私の方は、貴重な刺激をもらってとてもうれしく喜んでおりますので、寛容なお気持ちでどしどしご意見をいただければと存じます。
今後も宜しくお願いいたします。
草々
井上安芸 様
2001、4、6、 曽我逸郎
井上安芸さんへ、訂正のメール
前略
無門関第一則、「趙州無字」と書いてしまいましたが、「趙州狗子」が正しいタイトルです。
訂正します。すみません。
草々
井上 安芸様
2001、5、2、 曽我 逸郎