〜森 正夫の山歩き記録〜
第14回 八柱山(やばしらやま)2,114m                       2014.10.11


 四季を通じて八ヶ岳は親しみ深い山である。東京から交通の便が良いこと、また、冬期でも北アルプスや南アルプスと比べ、比較的天候が安定していて登りやすい。特に北八ヶ岳は冬山入門にもってこいの山域で人気が高い。言わば、日本アルプスなど3,000m級の山々を目指す者にとって格好の訓練場になっている。

 私も50年近くにわたり数えきれないくらい八ヶ岳に登った。特に思い出深く残っているのは、夏休みを利用して、小学生の息子2人を伴って編笠山から蓼科山まで主脈全山テント縦走したことである。その息子たちはすでに40歳を過ぎ、私は70歳に手が届くところまで来てしまった。

 こんな思いで八ヶ岳の地図を見ているとき、ふと、未だ一度も登ったことの無い山があることに気づいた。八柱山である。主脈からかなり外れているとはいえ、八ヶ岳通として登っていない山があっていい訳がない。早速、仕度をして出かけた。麦草峠まではスクーターで1時間と少しあれば到着だ。

 麦草峠から八柱山へのルートは、ほとんど標高差が無い。ツガなどの原生林が生い繁るよく整備された静かでゆるやかな道を、多少のアップダウンをくり返していくうちに1時間半ほどで到着した。2000m以上の頂きに登ったとは信じ難く、山頂に立った実感が全くない。丘の上から景色を眺めているような錯覚に陥ってしまう。山頂近くのカラ松や広葉樹の背がもう少し低ければ、北東面の眺望が素晴らしいと思われた。樹林の間から浅間山が姿を現した他は、奥秩父と御坂山系の山々が枝葉の合間にひとつにつながって遠くに望めたが、その後方にあるはずの富士山は確認できなかった。帰りは雨池でゆっくり時間を過ごすのも良いだろう。池のほとりでドリップしたコーヒーと、美味しいサンドウィッチの昼食をとるのが似合っている。

雨池の風景 山頂 雨池から双子山、大岳方面を望む

 このコースの良さは、北八ヶ岳らしい鬱蒼として、苔むした自然林の中を散策できること、また入山者が意外と少ないため静かな山歩きが楽しめることだ。体力に自信がなくても、1日3時間程度歩ければ誰でも登れる。ゆっくり訪ねてみたい山域である。

   <アクセス>
   国道141号線を清里方面に向い、佐久穂町に入ったら清水町交差点を右折し、国道299号に入る。
   白駒池駐車場(有料)をやり過ごし、すぐ先の麦草峠駐車場(無料)に車を止め、200m程戻った所にある
   麦草ヒュッテ入口の反対側に入り、20〜30m先の標識に従い右手の木道へと進む。




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