〜森 正夫の山歩き記録〜
第20回 戸谷峰(とやみね)1,629.1m 2015.11.30

 いつのことだったか、図書館で山の写真集を見ていた時、美ヶ原から写した戸谷峰とその背後の雪を冠った北アルプスの美しさに魅せられたことがある。標高はさほどではないが、両側に長い尾根を張り出したどっしりとした山容が見事であった。いつか山頂に立って北アルプスの雄大な姿を眺めてみたいと思っていた。何冊かのガイドブックを立ち読みして登山ルートを探したが見つからない。道路地図と1/25,000図で確認すると旧三才山峠(三才山トンネルの真上)から三才山と六人坊を経由してピストンできそうであった。しかし、この旧道は現在通行止めになっている。この道を歩くとなると気が遠くなる。こんなことから諦めかけていた。

 ところが最近、三才山トンネルを松本側に抜けた1キロ程先にある野間沢橋から登れるという情報を得た。所用で大町へ出かけた折にさがしたところ、登山道を示す標識などは無かったが道路のコンクリート法面に鉄はしごがかけられた道らしき跡が確認できた。一人ではちょっぴり不安があったので、友人(大出山を登った)を誘い11月30日に出かけた。

 登ってみると、この道は中部電力が鉄塔管理のために整備したもので、最初の300m程は急斜面の細いトラバースだが、その後は主尾根(3つ目の鉄塔)に出るまで、しっかりした広目の道が続いていて何の心配もない。かなりの急登だが気持ちの良い汗をかいているうちに主尾根に出た。

 尾根上にもしっかりした踏み跡があり、思いの外、多くの人が登っているようだ。赤いテープが枝につけられていて迷う心配はほとんどない。ただし、よく見ると色々なルートから登っているようで、別の支尾根上へ導くテープもあるので帰りには注意が必要である。尾根道の傾斜は緩めになり、頂上手前の急坂をひと登りすると直下の巻き道になる。この巻き道を少し進んだところに左斜面にロープが張られた急登の踏み跡があるので、そこをたどると間もなく頂上に飛び出す。巻き道はしっかりとした道で赤いテープが一定間隔につけられている為、テープに導かれそのまま進んでしまうので注意。私たちも見過ごして巻き道をたどり、途中で気づいて、その場から道の無い斜面を登って頂上に出た。帰りに正規のルートで下って、その存在に気づいた次第である。

常念岳と右後方に槍ヶ岳を望む 頂上と後ろに北アルプスの山々 雪煙舞う穂高連峰


雪の残った尾根道 間近にみる美ヶ原 松本側からみる
意外とすっきりした山容

 頂上からの見晴らしは申し分無し。写真の通りである。雪を冠った北アルプスがグンと近くに見渡せ、眼下には松本近辺の街並が望める。後ろを向けば美ヶ原はもとより、浅間連山や青木村、塩田平の山々がそびえている。こんな美しい景色が見られた幸福感で胸がいっぱいになった。頂上で食べたお弁当の美味しさは格別だ。



   <アクセス>
   国道254号を三才山トンネルを抜けて1km程先の野間沢橋を渡った右手の鉄はしごが登山口。
   車はさらに200m程先の左側の車寄せに駐車するのがよい。





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