〜森 正夫の山歩き記録〜
第9回 大笹峰(おおざさみね) 1,807m                2015.1.30.

 大笹峰とそこに連なる、ゆるやかな起伏のいくつかのピークを持つこの山城は、霧ケ峰高原全体の中に溶け込んでいて、特定の山としての認識を持っていなかった。車山(1,925m)や鷲ヶ峰(1,798m)、八島湿原へは幾度となく通い、そこから必ずと言っていいほど眺めていたはずなのに。

 霧ケ峰高原には、現役時代、私の勤務先の施設があったことから四季を通して数えきれないくらいに通っていた。そこは、美ヶ原とともに中部山岳地帯の展望台とも言われ、優しい起伏が広がる高地大草原の様相で、そこに居るだけで気持ちが安らぐところである。

 今回、図書館で借りた本の中にこの山域についての記事を見つけ、登ってみることにした。私がとったコースは、姫木平別荘地の最奥にあるエコーバレースキー場から入り、大笹峰から北の耳(1,829m)、南の耳(1,838m)、殿城山(てんじょうざん 1,800m)を扇形に経由して再びスキー場に戻るものであった。

 スキー場から大笹峰への登りは近辺で大規模な木の伐採と運搬が行われているので注意が必要だ。運搬用に造られた枝道が多く解りづらい。あくまでも本道を外さず林道のピーク地に達すると広目の空地があり、その手前に「ハイキングコース」という小さな木の案内が立っている。ここから山道となり快適な歩きが始まる。大笹峰へは30分程で達する。あとは見晴しのよい尾根道となり、どこを歩いても360度の大展望である。八ヶ岳が大きく全貌を現わし、南アルプスが近くに迫ってくる。また、遠くに北アルプスが望め、富士山が編笠山(2,523m)の横に顔を出す。近辺には車山、八島湿原、そして霧ケ峰の大草原が見渡せる。よく考えてみると、この景色は幾度となく訪れた中で初めて見る風景で、霧ケ峰の中心に立ってその全貌を眺めているのではないかと思われてならなかった。霧ケ峰広しといえども、これだけの景色はまず他に無い。今まで知らなかったことが悔やまれる。

山頂から蓼科山を見る 尾根道から大笹峰を振り返る 殿上山への途中から見た北の耳、南の耳

 今ひとつの良さは、このコースは特別困難な道や危険な箇所がなく、1日3〜4時間歩く体力さえあれば誰でも行けるという点だ。少々豪華なお弁当を持って家族全員でハイキングに出かける・・・、そんな場所でもある。冬場は北面、南面ともスキーのゲレンデが幾筋もつくられていて、さぞ騒々しいと思われるが、逆に花の多い夏から初秋はひっそりとしているようだ。ここは、霧ケ峰の穴場なのかも知れない。是非おすすめしたいコースである。

   <アクセス>
   国道152号を大門峠手前の標識に従い姫木平別荘地へ入る。
   別荘地の最奥地点がエコーバレースキー場となる。冬場のゲストハウスの先の林道が登山道へと続く。
   歩きはじめは案内標識が少ないので注意。




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