〜森 正夫の山歩き記録〜
第6回 御座山(おぐらさん) 2,112m        2014.8.22

 佐久地域を代表する山をあげろと言われれば、多くの人が御座山を指すだろう。私もその一人だ。八ヶ岳と奥秩父の山々との間に位置する2000mを越すその姿は、まさしく佐久の盟主にふさわしい山である。特に、ぶどう峠へ向う県道124号線から仰ぎ見る姿の雄々しさや、四方原山(よもっぱらやま)の樹林の間から眺める悠然とした佇まいは神々しささえ感じられてくる。

 この連載を始めるに当って、最初にとり上げたい山であったが、登山ルートの記憶が、時間の経過とともに薄れていたため割愛してきた。そこで、今年8月22日、思い切って再び登るため栗生からのコースをとった。10年以上前に登った白岩コースの心もとない記憶と比べても、このコースは距離が短く変化に富んでいるように思われた。

 登山口からジグザグの急登をこなし、ひと汗かくと、ほどなく不動の滝に到着する。30度を越す暑い日だったので、この滝からくる冷気が心地良く行きも帰りも長居した。再び急登をはじめ、少し疲れが出た頃に鎖がついた岩場に出る。この岩場は岩の凹凸がこまかく、多少急なので鎖を片手で持ち、三点確保を心掛けゆっくりと登りたい。登り切った少し先に、石造りのこじんまりとした御岳神社の祠に小さな鉄剣がまつられている。

 この先、下りの短い岩場に着くが、左前方に御座山の頂上に迫る大きな岩壁を望むことができる。岩場を下ればあとひと登りで頂上に至る。頂上近辺は大きな岩の積み重ねで出来ていて全体として長方形をしている。

山頂に続く絶壁 御座山頂 奥秩父の山々

 眺望は抜群で360度の大展望だ。目の前には八ヶ岳が網笠山(あみがさやま)から蓼科山に至る全貌を現している。左遠方には南アルプスの北岳や駒ケ岳などの雄姿が望め、周辺には天狗山や男山、さらに茂来山、四方原山など南佐久の山々を見渡すことができる。さらに、左後方には奥秩父の山波が長々と横たわり、金峰山の五丈岩や瑞牆山(みずがきやま)の岩峰が認められる。

 頂上直下にはログハウス調の小さな避難小屋があり、とても清潔な状態が保たれていた。前に登った時は、建てられて間もない頃で、きれいな小屋という印象が強かったが、年月を経てもこれだけの状態が保たれているのは、地元の方々の努力と登山者のマナーの良さ故であろう。昨今、荒らされる避難小屋が多い中で、ありがたく、清々しく感じられた。

   <アクセス>
   国道141号を標識に従い南相木村へ。村役場を過ぎて20m程先を左折(判別しにくいので注意)する。
   しばらくして心配になりかけた頃「御座山」の標識が出てくるので注意。
   ここを左折し、終点まで約1〜2km。広めの駐車スペースがあり、奥に「登山口」の小さな標識が設置されている。




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