〜森 正夫の山歩き記録〜
第1回 茂来山(もらいさん) 1,717.8m        2013.12.7

 佐久平周辺から南東にくっきりとそびえる三角形の山、それが茂来山だ。そのピラミダルで裾の広い山容は、山好きな者たちの目を釘ずけにする。茂来山へのアプローチは三通りあり、平川原から霧久保沢を急登する道、または下川原から槙沢をゆったりと登る道、今ひとつは四方原山(よもっぱらやま)からの縦走だ。どのコースをとっても懐が深く、静かなゆったりとした山歩きが楽しめるところだ。

 槙沢からのルートでは歩き始めは唐松などの植林が目立つが、知らず知らずのうちにウッソウとしたブナ林の中を歩いているのに気づく。特に晩秋になると、フカフカした落葉のジュウタンが心地良い。静けさの中、カサカサと音をひびかせて足を運ぶ道は、自然との一体感を味わわせてくれる。

 頂上では、四方に開けた360度の展望が待っており、天気が良ければ真冬に登りたい山だ。頂上直下には日当たりの良い少し開けた平地があり、ひと休みしたり、食事をするのに都合が良い。冬の一日、テントを張って星でも見たらどんなにくつろげるかと心動くが、今の私には重い荷物を担ぐ自信はない。

 山名の由来を調べたが、どうも納得できるものがない。また、「茂来」という単語では辞書に出ていないため、「茂」と「来」を別々に調べて勝手につなぎ合わせると次のようになった。「うっそうと生い繁る木々がたえず転生をくり返す山」。言い得て妙、まさしくその通りの山である。


補足@
 2014年12月12日、霧久保沢から登った。平日のため登山者は私1人。頬に刺さる冷たい空気の中を歩き始める。林道から登山道に入って幅の広いゆったりとした道が続く。森の巨人たち100選に選ばれた「トチノキ・コブ太郎」を過ぎると、道は斜度を増し、水源地を過ぎ、「大天トチノキ」あたりから急登となる。この道は元々湿気と石が多いため滑りやすい。この日は、幾日か前に降った雪がそのあとの雨で溶けて、それが凍りついているためツルツル状態だった。4本爪の軽アイゼンをつけて登り始めたが、石が多いため歩きづらい。稜線(槙沢分岐)に出るまで思ったより時間を要したが、すばらしい展望を味わうことができた。何度登っても心地良い山である。
 冬期にこのコースを登るのに、一番条件の悪い状態だったようで反省している。下りは本当に危険であった。雪の積もったアイスバーン斜面を下るより難しく、難儀した。冬期にこのコースを登るのなら、雪がたっぷりと積もった後が良い。


補足A
 昨年12月に登った霧久保沢コースでは、いつものことながらカメラを忘れてしまったので、2015年11月12日に再び登った。予報では晴れだったが沢の中はその名の通り深い霧で冷たく寒かった。頂上は晴れていたが、遠望はきかず周囲の景色は見られなかった。
 今回、その時の写真を加える。

霧久保沢登山口
(林道車止前駐車場)
茂来山頂 槙沢と霧久保沢の分岐(尾根上の出合い)
とちの木コブ太郎 霧久保沢の渓流(上部) 大天とちの木
(コブ太郎より幹廻り太く高齢)


   <アクセス>
   国道141号から千曲病院入口交差点を左折し、国道299号を十石峠へ向かう。
   川久保交差点をすぎたら登山道入口の標識を見落とさずに。




お問い合わせは
長野県佐久市望月99-3
TEL/FAX 0267-53-8456
MAIL

Copyright (C) 2010 Sakulife Service All Rights Reserved.