〜森 正夫の山歩き記録〜
第12回 黒斑山(くろふやま)2,404mからJバンドへ              2015.1.3


 黒斑山は浅間山の大展望台である。真正面に迫る浅間山の秀麗な姿はいつまで眺めていても飽きることがない。特に冬期の白銀に輝く浅間山は言語を絶する美しさがある。

 黒斑山へは車坂峠から登るのが一般的である。登山道は表コースと中コースがあるが、登りは表、下りは中をとるのが良い。登りでは高度を上げるにつれ展望が開けてくる。天気が良ければ途中から富士山、中央アルプス、北アルプス、さらに北信の山々まで大パノラマが待っている。
 

 黒斑山は、本来、三重式火山である浅間山のもっとも古い噴火口の外隣山の一部であったと言われている。長い年月のうちに浅間山の西側が今のような形で残ったもので、その最高峰が黒斑山だ。Jバンドへと続く山波の東側は湯の平、賽ノ河原と呼ばれる広大なくぼみに切れ落ちた断崖絶壁になっているが、西側は深い樹林に覆われている。

 黒斑山からの展望を充分楽しんだら、体力に余裕があれば是非おすすめしたいのがこのコースだ。Jバンドを経由して賽ノ河原・湯の平へ下り、、再び草すべりをつき上げてトーミの頭に戻って来る周遊コースである。このコースは、黒斑山からは浅間山の影になり、また、西側の樹林に遮られて見えなかった山々を見渡すことができ、しかも3000m級のアルプスを歩くようなアルペン気分を味わわせてくれる。多分、浅間連山の中で最も楽しい山歩きができるはずだ。

 まず、蛇骨岳へと向かう。この間は樹林と展望の開ける断崖の淵を出たり入ったりの歩きとなる。雨の後などは樹林の中にぬかるみが多く出来る。蛇骨岳へ出ると西側の樹林も無くなり四方に開けた尾根歩きとなる。まさしくアルペンムードを満喫しつつ仙人岳、鋸岳へと進んでいこう。鋸岳の先からJバンドを下り、賽ノ河原へ出るが、ここでは急な岩場となるので細心の注意を要する。特に落石を起こさないことが大切だ。逆コースをとる登山者が登って来ることが多いからだ。

 賽ノ河原からは気分もほぐれ気持ちの良い歩きとなる。途中から背の低い樹林帯に入り、湯の平へ着く。ここからは最後の頑張りが必要となる。約1時間の急な登りをこなして、ようやくトーミの頭戻ることが出来るからだ。この登りを避けたければ逆コースをとることになるが、全体としての登降は同じである。展望を考えればはじめのコースをおすすめしたい。トーミの頭からは、中コースをとり、ゆっくりと車坂峠へ向かうことになる。充分満足できる山歩きになるだろう。

 なお、冬期に登るばあいは、黒斑山までならアイゼンより輪かんかスノーシュー(小さ目のもの)をおすすめする。多少クラストしているのは樹林帯を出た先のピークからトーミの頭へ登る間にあるごく一部ぐらいで、あとは雪質が思いの外やわらかい。アイゼンで歩くと逆に邪魔になり、かなりの頻度で深みにはまることになる。また、先のピークからトーミの頭までの下り登りの区間は強風が吹き荒れることが多く、寒い。ゴーグルなどの防寒対策は樹林帯を出る前(樹林帯に戻って)にしておくことが肝心だ。技量と体力があれば1度はおすすめしたい冬場の山歩きコースである。

 なお、冬期の場合、よほどの自信と体力がなければ蛇骨岳までのピストンとすべきである。



補足@
 2015年11月18日、北海道から遊びに来た友人の希望で黒斑山へ登った。19日朝、外は深い霧が立ちこめ、小雨が降っている。遠方からの来客、どうしても登らせてやりたいと思い、とりあえず出掛けた。
 車坂峠への登りはますます霧が深くなり、視界はほとんどきかない。ゆっくりと車を走らせ高度を上げる。ところが峠の手前で急に霧海の上に飛び出した。上空はドンピカの晴天。こんなに驚いたことは近頃なかった。雲海の上に見渡す限りの高山が浮かんでいる。
 ここぞとばかりにシャッターを押した。その写真を今回新たに加える。
トーミの頭から見る浅間山と
最後の登り(左側)
黒斑山から見る浅間山 蛇骨岳からJバンドへの稜線
牙山から剣ヶ峰への稜線 雲海に浮かぶ北アルプス 雲海に浮かぶ奥秩父と南佐久の山々



   <アクセス>
   国道18号線を小諸警察署交差点で標識に従い県道94号線に入り車坂峠へ。
   峠の駐車場は土日、休日は混雑するので早目に到着することをおすすめする。




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