〜森 正夫の山歩き記録〜
第16回 烏帽子岳(えぼしだけ)2,065.6mと湯の丸山(ゆのまるやま)2,098m                       2014.11.4


 烏帽子岳と湯の丸山は浅間連山の中で最も西側に位置する。我家の庭から眺めると、主峰浅間山から西側に連なる一塊の山々とは幾分離れた所に見える。

 こんもりとした湯の丸山と山体を右斜めに傾け、先端をとがらせたような烏帽子岳がゆるやかに立ち並ぶ姿はなんとも美しい。春から秋にかけて、まだ暖かさが保たれている頃は、畑仕事を終えてからビールを片手にこの景色を眺めるのが好きだ。

 この2峰の山頂はさえぎるものが全く無い360度の大展望が楽しめる。快晴ならば、北西方向に槍・穂高連峰から後立山連峰、その向こうに白馬連山など北アルプスのほぼ全景が姿を現す。また、その手前から北東にかけて火打、妙高など北信の山々や四阿屋山、根子岳、草津の山々を見渡すことが可能である。

 さらに反対側を向けば、浅間連山の一群が目の前にあり、遠くに富士山が顔を出す。八ヶ岳連峰や奥秩父の山波が花を添え、甲斐駒ヶ岳が姿をのぞかせている。南西には中央アルプス、乗鞍岳、木曽御嶽山、美ヶ原、霧ケ峰などが立ち並ぶ。まさしく、中部山岳地帯をぐるりと見渡していることになる。これだけの大展望を可能とする山はそう多くないはずだ。

キャンプ場から見た湯の丸山 湯の丸山山頂 湯の丸山から烏帽子岳を望む

 この2峰へのルートは、地蔵峠を起点に湯の丸キャンプ場を経て烏帽子岳へ向かい、少し戻って湯の丸山へ登り返して、ツツジ平を通って地蔵峠に帰ってくるのがよい。春の新緑、初夏のツツジ、夏の高山植物、秋の紅葉など、どれをとっても大いに楽しめる山域なのだ。特におすすめしたいのが11月以降の冷え込んだ日。紅葉が終わりかけた樹木の霧氷に朝日が差し、両山の斜面が一斉に輝いて、幻想的で神秘的な景色をつくり出す。言語を絶する世界が現れる。

盛りは少し過ぎたが、それでも梅雨の晴れ間、遅咲きの木々が美しいツツジ平とその付近

 登山道はよく整備されていて歩きやすく、道に迷う心配はほとんどない。4〜5時間歩く体力さえあれば誰でも登ることが可能である。ただし、夜におりた霜がとけ出す季節の烏帽子岳頂上手前の稜線に出る前後はすべりやすいので注意を。


 追記
 昨年11月、今年の2月とこのコースを登って写真を撮った。11月はすばらしい霧氷、2月は雪景色だ。今回ご紹介しようと考えていたのに、買ったばかりの新しいカメラをいじくっているうちに間違って全ての画像を削除してしまった。元来、機械オンチの私だが、こんなミスを犯すとは腹立たしいことこの上無い。

 そこで、6月25日、ツツジの季節に再び登ってきた。霧氷と雪景色がないのは極めて残念で心残りだ。今年の冬期に是非写してきたいと思っている。

   <アクセス>
   国道18号線を東御市に入り、標識に従い地蔵峠(湯の丸高原スキー場)へ向かう。地蔵峠からは本文のとおり。




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