新 訂
尋 常 小 学 唱 歌

                              第六学年用

    ☆歌詞別掲の曲・・・・・・・・・・別ページ
     
明治天皇御製
 1.物学ぶ道にたつ子よ、おこたりに、まされる仇は なしとしらなむ。
 2.さし昇る朝日の如く、さわやかにもたまほしきは 心なりけり。
 3.おのが身はかへりみずして 人のため、尽くすぞ人の 務めなりける
朧 月 夜    別 掲
遠 足
 1.鳴くやひばりの声うららかに、かげろふもえて野は晴れわたる。
         いざや、我が友うち連れ行かん。今日はうれしき遠足の日よ。

 2.右に見ゆるは名高き御寺、左に遠くかすむは古城、
        春は絵のごと我等をめぐる。今日はたのしき遠足の日よ。

 3.たどりつきたる峠の上に、菜の花にほふ里見下ろして、
        笑ひさざめくひるげのむしろ。今日はうれしき遠足の日よ。

 4.風は音なくやなぎをわたり、 船は静かに我等をのせて、
        行くは何処ぞ、桃咲く村へ。今日はたのしき遠足の日よ。
我等の村
 1.霞む山べは紫にほひ、野べは黄金の菜の花盛。
        春の光はくまなく満ちて、鳴くや鶏声さへのどか。

 2.出でて耕すをとこのために、空のひばりはひねもす歌い、   
        うちに働くをとめのために、花はまがきの辺を飾る。

 3.富める貧しき様様なれど、村を愛する心は一つ。
        老いも若きも互に助け、村はさながら一家のむつび。

 4.ここぞ我らの生まれし処。ここぞ我らの育ちし処。
        やがて我らの力によりて、国のほまれとなすべき処。
四季の雨
 1.降るとも見えじ、春の雨、水に輪をかく波なくば、
        けぶるとばかり思はせて。降るとも見えじ、春の雨。

 2.俄かに過ぐる夏の雨、物干し竿に、白露を   
        なごりとしばし走らせて。俄かに過ぐる夏の雨。

 3.をりをりそそぐ秋の雨。木の葉・木の実を野に、山に、
        色さまざまにそめなして。をりをりそそぐ秋の雨。

 4.聞くだに寒き冬の雨、窓の小笹にさやさやと、
        更行く夜半をおとづれて。聞くだに寒き冬の雨。
15 故 郷      別 掲
19
 1.雲を凌げる老木の 梢の上の荒鷲は
        広き宇宙を睥睨す、み空の君主さながらに。

                気高く雄雄し、鳥の王、鷲の姿。   
 2.怒涛逆巻く絶海の 孤島に巣くふ荒鷲は

        暴雨風をついて天翔けり、育む雛に餌を運ぶ。
                やさしく、つよし、鳥の王、鷲の姿。  
25 夜の梅
 1.梢まばらに咲き初めし花は、さやかにみえねども、
        夜もかくれぬ香にめでて、窓はとざさぬ闇の梅。
   
 2.花も、小枝もそのままに うつる墨絵の紙障子。

        かをりゆかしく思へども、窓は開かぬ月の梅。  
(この項「尋常小学唱歌第六学年」)