新宿風月堂(風月堂)
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新宿駅の中央口改札を出て真っ直ぐ進み、最初の交差点を過ぎると、右側数十メートルのところに「風月堂」があった。全面総ガラス張りで、中にいる人の姿を表から見ることが出来る。同じくガラス張りになっているドアを押して店にはいると、すぐ前に洋菓子を陳列したガラスケースがあり、そのまま左に向きを変えて店内に進む。レジ兼用のそのガラスケースに沿ってすぐ右にまがれば、左側は丸テーブルが置かれている客席、右側には2000枚はあると言われたLPレコードを収容する棚や、コーヒーの厨房、カウンタがあった。 |
| さらに進むと2階への階段があり、客の少ないときはそのたもとにウエイイトレスが立っていた。正面の壁には直径五、六十センチほどのメインスピーカー、その上下にウーハ−、ツイターの小スピーカーが埋め込まれていた。スピーカーに向かって左側の壁には何枚かの絵がかけられていて、定期的に入れ替えられていたようなので、画廊のような役目も果たしていたのだろうか。 建物は2階総吹き抜けの構造だが、正面より見て右手三分の一位が二階のフロアーとなっていた。 |
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私の学生時代の昭和30年(1955年)代前半は名曲喫茶店があちこちにあった時代である。「風月堂」もクラシック専門の喫茶店ではあったが、よく通った渋谷の「でんえん」のように、クラシックレコードの演奏そのものを聴きに行くのが主な目的の喫茶店とは少し違った雰囲気を持っていたように思う。 |
| 客層は普通のサラリーマンよりは、どちらかというと芸術家の卵といったムードを持つ人間の集まりという感じであった。クラシック音楽を背景にして仲間同士で議論を闘わせる場を求める人達に場所を提供するというサロン風な趣きがあって、そのために多少の戸惑いを覚えた。のちにヒッピーやフーテンがたむろするようになったり、ベ平連の活動の場となったりして、それが原因で閉店のやむなきにいたったのではないかと想像するのだが、そうだとすると、すでに当時からその下地はあったのである。(風月堂) |
| (家庭教師) |