タクシードライバー(ラストシーン)
トラビスの運転するタクシーのフロントガラスに、ニューヨークの夜の風景、ネオンや建物が次から次へと写っては消え,消えてはまた写し出されている。1976年のこの映画は、繁栄を誇ったアメリカ社会にもベトナム戦争の後遺症からか退廃の影が忍び寄り始め、麻薬、暴力、殺人の街となりつつある大都会の夜を感じさせるシーンが数分間続いて終りとなる。 同じ日の夜、以前彼のタクシーに救いを求めて乗ろうとした12歳の売春婦アイリスのいる売春宿に押しかけ、屯していた用心棒たちを撃ち殺してしまう。彼自身も重症を負うが、回復後元の職場に復帰する。新聞は彼の行為を暴力団からアイリスを救い出した英雄として誉め称えた。 ある日、かつての恋人ベッツイが故意か偶然か彼の車の客となった。タクシーの中で彼に話し掛ける彼女に対して何か悟りきったような淋しげな笑みで返事をするトラビスの、若干ニヒルな感じのする表情がいい。やがて彼女の家に着き、料金を払おうとするベッツイに対して、「じゃーな」と言って金を受け取らずに去って行くシーンに、思わずも少々の小気味良さを覚えさせられてしまうのである。(タクシードライバー)(00/11/17) |
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(誰が為に鐘は鳴る) | ![]() |