側車部分は、軽く作られている。
力持ちな夫婦なら、はらぺこ状態でも持ち上げられる。
ということは・・・

めぐりあい・空

内助の功ナリング

〜 右カーブ編 〜

サイドカーは、右カーブで側車が浮く。
まぁ、ゆっくりと浮き上がるので
慣れてしまえば驚かないけど、ひっくり返ったらえらいことよ!
では、ドライバー(操縦者)が側車側を押さえるような体重移動をして、
側車の浮きを完全に予防できるかというと・・・
はっきりいって、完全には無理よ!


カ
|
ブ
内
側
ゾ
|
ン     カ
|
ブ
外
側
ゾ
|
ン
バイクの場合、カーブでは傾くことでバランスを取っている。
スピードが上がるほど傾くこのラインを「バランスライン」とする。

カ
|
ブ
内
側
ゾ
|
ン     カ
|
ブ
外
側
ゾ
|
ン
サイドカーにこのバランスラインを当てはめると、こうなる。
側車より重いバイクが、外側ゾーンにすっぽり入ってしまう。
ドライバーが体重移動しても、内側ゾーンにまで入れるわけではない。
バランスの崩れたヤジロベエのごとく、側車は浮いてしまうのよ。

フォームを工夫すれば、たしかに限界速度は上がる。
ただし、どんなフォームを編み出したとしても、
側車が完全に浮かなくなるわけではない・・・って事だね。

しかし!パッセンジャーは、しっかりと内側ゾーンから、
「てこの原理」で、重たいバイクと夫をどっしりと支え続けてくれるの!
これぞまさに「内助の功(ないじょのこう)」ってわけね!
だから、パッセンジャー次第で限界速度は大きく変わるのよ!

パッセンジャーも一緒に体重移動すれば、かなり効果的・・・って事だね。
じゃ、こんなふうに頼むよ!

まねしちゃダメよ!

うん。まかしといて。って危ないよ!
ごらんのとおり、こんなレース専用車両ですら側車は浮くのよ。
その辺を踏まえ、「どのくらいのスピードで側車が浮くのか」
を安全な場所で体験した上で、カーブには安全な速度で進入しよう!

右一杯にハンドルを切って、ちびくろサンボの虎のごとく、
くるくる回れば簡単に体験できます。
バターになるまで練習し、限界速度を体に覚えさせよう!

ちなみに、
「バランスライン」という言葉は、
私が説明のため勝手に名付けた言葉なので、
公式な場(ってどこだ?)で使ってもズバリ通用しないでしょう!

〜 左カーブ編 〜

じゃあ左カーブは側車が浮かないから、
スピードアップだな。いきまぁ〜す!

・・・いや、そうもいかないのよ。

まさか!バイクは重いから、浮かないだろ?


サイドカーは上から見ると、三つのタイヤがこんなふうに接地している。
自動車の右前輪にあたる部分が、ぽっかりと空いている。
・・・と、いうことは!

・・・と、いうことは?


矢印の方角にすごく大きな力が加わると・・・
バイクの後輪が浮いてしまうの!
最悪はタイタニック号の如く転覆・・・さよならジャック。

まてローズ!この方角に力が加わるのはどんなときだ?


それが「左カーブ中にブレーキをかけたとき」なのよ。
それが急ブレーキだったり下り坂だったりすると、
その力が大きくなり、後輪が浮いてしまう。

大変だ!ブレーキを取り外そう!

ばかもん!
人生同様、一寸先は闇なのよ。
ブレーキをかける必要が、突然生じることもありうる。
そこいら辺を配慮しつつ体重移動すると共に、
やはりカーブには安全な速度で進入しよう!

左一杯にハンドルを切って進み、フロントブレーキをカクンと効かせれば、
体験できるらしいのですが・・・
このサイドカーは旧式のドラムブレーキなので、出来ませんでした・・・

出来ねぇのかよ!偉そうな事言った後なのに〜・・・

キーコキーコ!

サイドカーまめ知識「ご自身の腕で」

サイドカーははっきり言って「不完全な乗り物」だ。実用車としては絶滅の道を歩んでいった史実からもそれは間違いない。しかし、乗り手が不完全な部分を補うことによって「完全な乗り物」に変わるのだ。・・・だからサイドカーは面白いのだ。その楽しさは、他のいかなる乗り物でも得ることは出来ない。サイドカーは永遠に不滅なのだ。