平壌(家庭訪問)

 1995年4月、「平和のためのピョンヤン国際スポーツ及び文化祭典」のツアーに参加し、都合2週間滞在した。
 その際、ガイド氏にどこか一般家庭を訪問することが出来ないかと依頼しておいたのが、帰国寸前に実現した。場所は「高麗ホテル」のすぐ前にある19建て住宅の5階に住む中年夫婦の家庭であった。職業は体育学校の教官とのことで年齢は45歳前後という感じであった。
 エレベータは一基で自動ではあるが、操作員がついていた。夫人が出迎えてくれた。
 夫婦に高校生の男の子2人計4人の家族構成という話であった。居間、台所、それに夫婦と子供の寝室計4部屋と見受けた。日本の3LDKというところか。
 ワインや洋酒用のグラスが沢山入っている居間のガラス戸棚が印象的であった。
左が子供の寝室。壁には金正日の写真が懸かっていた。真ん中は夫婦の寝室。

※ 平嬢の市街地で真っ先に目につくのは高層の住宅用アパート群であるが、そのアパートには日本で見られるような洗濯物や布団を窓際に出して乾す風景にお目にかからないことである。この点について質問したところ、はっきりとは言わなかったが、建物の窓のところに必ず見られるベランダの高さより上に出してはいけないという規制があるらしいということであった。
 
 もう一つは市内に電柱が見当たらないことである。これは電力は各地で夫々調達すること及び電線は地下埋設にするという金日成の指導であるということからきているようである。事実、我々が行くことの出来た地域では市内を蜘蛛の巣のように張り巡らされている電線を見た記憶はない。

 街の美観には大いに貢献はしているが、一方費用がかかりしかも老朽化して更新するときの費用がまた莫大となる。老朽化した地下埋電線は漏電率は大きくなり、全国的な送電線がないため電力の需給にアンバランスが生じ、伝えられる電力不足の一因ともなっているのであると思われる。

 それはともかく、地上からは殆ど観察出来ないが、各ビルの屋上から屋上に電線が渡されているのを発見した。この電線だけで各住宅の電力を供給出来るのか、あるいは地下埋送電線の補助手段として存在するのか、疑問の残るところである。