市販品にみる棋譜記録機  

マイコンが一般にブームになり始めた頃、囲碁に関する機器が出回り始めた。私が情報として知り得た範囲、または実際に入手したそれらのものを紹介してみたい。

 〇 ナショナル電子碁盤「名局」TQ−1500

松下電器産業鰍ゥら発売された囲碁の対局自動記録機である。碁盤の交点(目)の位置に特殊な磁気感知装置が埋め込んである。碁石全部にも夫々磁石が内臓されている。石を置くと碁盤内の磁気感知装置が反応して、石の打たれた位置をデータとして処理する。

対局が終了したら、磁気カード(盤上に見えている)を、手前側の長方形の差し込み口から差し込み、対局の経過を記録させる。

対局を再現する時は、同じく磁気カードを差し込んで、カードに記録してあるデータを読み取らせる。碁盤の周囲には縦横の各線の位置にLEDが埋め込まれており、それぞれに点灯したLEDの交点が指定された石の位置ということになる。
ただし、当然のことながら同じ種類の機器でしか使うことが出来ず、棋譜という形で対局を残す機能はない。 技術的にみてもなかなかよく出来ていると思うが、値段が高くて(当時で30万円前後だったと思う)誰もが簡単に使うというわけにはいかなかった。

 〇電子碁盤「清流」  潟Xタット・サプライ 
これは再生専用機である。各交点(目)には、赤、青の色をそれぞれ表示することの出来るLEDが埋め込まれている。上の盤と同じように磁気カードを差し込んでデータを読み込ませ、手数進行ボタンを押すと、黒番なら緑、白番なら赤のLEDが点灯する(自動進行機能もある)。

 松下製のより少し早い時期に発売された。

 「囲碁マスター」 川崎エンジアリング梶@昭和57年(1982年)
再生専用機で、左側にあるのがソフトである。詰碁、定石、名局の再現等が出来る。またこの画面上で、写真右下に見えるカーソルを動かして対局することが出来るが、データとして残す機能はない。

大きさ 180(縦)×115(横)×25(高さ)o

真中 ナショナル携帯用電子碁盤(JH−500) 名局ジュニア  昭和59年(1984年)
定石、手筋、詰碁、名局鑑賞等のソフトが内臓されている。
写真の右側および下側に並んでいる丸型の小さなボタンで座標を指定して棋譜を入力し、そのデータをカセットレコーダーに保存することが出来る。しかし前述の電子碁盤と同じく、この機種の範囲内での再現であり、棋譜としてプリントアウトする機能はない。

大きさ 180(縦)×128(横)×25(高さ)o

 デジタルブックプレーヤ DB−P1  NEC
本来は囲碁用ではなく、ソフトを入れ替えることによって囲碁にも使うことが出来るというものである。
詰碁、名局鑑賞などのほかに、対局を記録することの出来るソフトがある。ただ実戦のときに、カーソルを使って石を碁盤表示の交点まで動かすのは結構面倒であると思う。 左側は、ソフトを読み込ませるためのフロッピーディスクドライバである。

大きさ 165(縦)×128(横)×27(高さ)o


(回路系統図) (この項 棋譜記録機の市販品)