先日、民主党の新しい代表が選ばれたことを話題に取り上げたテレビ番組を見たていたら、出席者の一人が
「マエバラ代表が・・」とか
「マエバラ代表は・・・」
 と言っているのを聞いていた民主党の代議士が、
「マエバラではなく、マエハラが正しい読み方である。本人は間違えて呼ばれるのを大変気にしている」

と発言した。すると誰かが
「そんなことを気にするようでは大物になれないぞ」
と、からかったので一同大笑いになった。

 このやりとりを聞いていて、私も今まで多くの人に、自分の名前を正しく読んでもらえなかったこや、また名前の字を正確に書いてもらえないことが多かったことなどを思い出した。

 我が家の家系図を見ると、曽祖父の代から私に至るまで、全て名前の上の文字には「丈」という字を使い、これを「じよう」と読ませているが、私と弟の場合には、読みは同じだが「丈」の字の横に点を付加した字になっている。

 これは「丈」という文字が「文」とかあるいは「大」という字に間違えられ易く、そのために父は不愉快な思いをしたことが多かったので、そいうことがないようにとわざわざ点を打った文字にして役場に届けたと言っていた。

 しかし「丈」の字に点を打った文字は正式には存在しないので、例えば名刺を作るときには特別に注文
しないといけない。面倒くさかったので私はそのまま点の打っていない字で我慢したが、弟は必ず点のついた名刺にしていた。ワープロにもそのような文字は入っていないのでますます面倒である。

 父の思惑は、「丈」の字に点が打ってあるので「文」や「大」に間違える人はいなくなる筈だということだったが、実際にはそうでもないことが多かったのである。しかもご丁寧なことに「大」に点をつける人がいた。「大」に点がつくと誰が見ても「犬」(いぬ)になってしまう。おおらかな性格だった父の高笑いが草葉の陰から聞こえて来そうである。