ホタルイカ
1月2月3月4月5月6月7月8月9月10月11月12月

■産卵期
富山湾では2〜7月、11〜12月に。鳥取、島根沖では12月、1月を除く周年。太平洋側では冬から初夏にかけて
卵が採集されており、ほぼ一年中産卵し続けていることになる。
しかし産卵の盛期は4月から5月下旬であり、富山湾では秋にも産卵期があることがわかっているが
春先のような集団産卵は知られていない。
■卵の形
ホタルイカの卵は1.5×1.5mmの楕円形。漏斗の先からゼリー状物質で包まれて1列になって出てきて、
そのまま1m以上の紐のような形で水中に浮かぶ。やがて包んでいたゼリーが取れ、ひとつずつバラバラになる。
■移動と分布
6〜9月海流に乗って名立沖〜佐渡沖までひろがり、成長とともに富山湾口に戻ってくる。
10〜1月能登半島北東〜東部沖。2〜5月滑川魚津間を中心に接岸。
■行動
産卵期以外のホタルイカは日本海の外洋に広く分布し、日中は水深200m以上の深い海にいて夜間は水深30〜
100mの表層域に浮上してくる。エビ類も含めこの日周鉛直行動をとるほとんどの生き物はホタルイカと同じように
発光器をもっている。これらの生き物に共通して腹部に発光器が集中していること。また水深200m以上では
太陽の光は波長480ナノメートルを中心とする青い単色光しか届いていないことから上から差し込む光と同調して
腹部を発光させて自分自身の影を消す働きをしていることがわかっている。
夜間は表層近くに上昇し発光を止めて闇に溶け込み、月夜の晩には月の光に同調して発光する。
実験では周囲の光の同調には平均1〜2分。最大で5分のタイムラグがある。
■発光器
腹側の第4腕先端の発光器がもっとも強力で普段はゴマ粒のように隠れている。その他にも眼球腹面、体側に
1000個に近い微細発光器が分布し、体背側には存在しない。
皮膚発光器には緑色と青色、薄い青色の3種類の異なる発光器がある。
■月齢との相関
富山湾での定置網の漁獲量をみると満月と新月に多く獲れる傾向がある。また南風による表層の海水の移動によって
海底から岸方向への流れが引き起こされ、岸に打ち上げられる「身投げ」と呼ばれる現象が起きる。
アユ
1月2月3月4月5月6月7月8月9月10月11月12月

アユは、 日本列島のほぼ全域および朝鮮半島、 中国大陸の一部に分布している。
秋に河川の中下流域で産卵し孵化した仔魚はすぐに海に降り、暖かく餌が豊富な海で冬を過ごす。
冬期間、 距岸2キロ以内の沿岸域で カイアシ類などの動物プランクトンを食べて成長し
4〜5月頃には河川に遡上する。 夏の間川の中上流域まで達したアユは石に繁茂した珪藻を食べて大きく成長する。
この時、 「なわばり」 を形成。 秋には再び下流域に下り、 産卵の後1年の生涯を終える。
サヨリ (ダツ目サヨリ科サヨリ属)
1月2月3月4月5月6月7月8月9月10月11月12月

細長く、サンマによく似た魚体で、紅をさしたような下アゴが上アゴより4〜5倍も長く突き出ている。
外洋では30〜40cmにもなるが、内湾で釣れるのはエンピツサヨリといわれ20cm前後が多い。
低水温を好む魚だがその幅は広く12〜20℃といわれる。
産卵期は4〜6月 (盛期5月)。 流れ藻や磯近くの藻場 (ホンダワラなど) に卵を産み付ける。
孵化後急速に成長し6月下旬には4〜9センチ程度になった稚魚が沿岸で見られるようになり、
9月には12〜20センチ、 12月には22〜30センチ程度に成長する。
越冬後、 雌雄ともに成熟し (生後1年)産卵活動を行う。 ここで死亡する個体もあるが生き残った個体は
夏から秋にかけて更に成長して尾叉長(びさちょう)30センチ以上となり翌年もう1度産卵に加わり生涯を終える。
ハタハタ (スズキ目ハタハタ科)
1月2月3月4月5月6月7月8月9月10月11月12月

ハタハタは、漢字で書くと魚へんに神または雷になり、神鳴、雷鳴(どちらもカミナリと読む)とカミナリに関係しています。
これはカミナリが鳴るほど海がしけて波が高い時に産卵のために浅瀬にやってきて獲れるようになる為で、
ハタハタという呼び名は「波多波多」に由来するという説もあります。

ぶりこ(ハタハタの卵)を持ち始める10月中旬頃からがハタハタの時期で、普段は水深250m、水温2度程度の海底に
生息しているらしいが、12月の産卵期には水深2m前後の藻場に一挙にやってくる。
 そこで、ゴルフボール位の卵塊を海藻の茎に産み付ける。これを山形、秋田では産卵魚を「ハタハタ」、
卵塊を「ブリコ」、卵をもった雌魚を「ブリコハタハタ」と呼び親しんでいる。
ハタハタの産卵数は約1500粒と数は少ないが卵径は大きく、ふ化までに役60日間もかかる。
また、卵は非常に固く他の魚の餌となることはなく、ふ化時期は外敵のもっとも少ない2月であり、
ふ化直後から遊泳力がある等の生き残るための独特の生態を持っている。