森 林 浴
001: 玉葱を刻む主婦業半世紀 茉胡
*時々私も思います。。家族の料理を作るのが当たり前の日々が・・ふと /智子 -一読して詠み手である主婦の生き様が伺える。但しこの句での玉葱に季感が 伺えないのでは。 /良耶 *半世紀に主婦の献身力を感じます。50年こつこつ働きました。 /紅香 *一年中食べている玉葱ですがこの梅雨の時期しゃきっとした玉葱のみじん切 りに生き返る、玉葱は夏の季語だったんですね /つね子 *新玉葱をたくさん頂いたので、すぐに目に止まりました。長生きされる女性 たちはどんな形であれ主婦業をやってこられたと思いますので、すべての女性 たちへの賛歌と思いました。玉葱だけを刻んできたのではありませんが、納得 させられます。 /都002: 庭の梅集めて2キロ程もあり 熊谷邦雄
-私のとった梅も2キロありました。砂糖漬けでしょうか? /紅香 *梅の木が複数あると思いました。 /のそう003: 鱧の出自尋ぬる吾の京ことば 玲
*鱧と言えば京都ですよね‥思わずいつも,標準語なのに・・出たのでしょう ・・ /智子 -京ことばは綺麗だがこの句では鱧と近いのでは。 /良耶 *生命力が強くまだ生きている鱧に問いかけています。 /茉胡004: 多佳子忌や花切鋏キンと鳴る 春生
*情念の叙情句で名を馳せた橋本多佳子、鋏と言う刃物、“キン”と言うオノ マトペ、こうやって忌日と合わせられる日が私にもやってきますように! /玲 *中七下五の措辞はこの季語を得てよりリアル感がある。 /良耶 *橋本多佳子の性格の激しさが鋏の音に出ていて、面白い。 /遊耳 *風流です。鋏がキンと鳴る・・・多佳子という人はお花の先生でしょうか。 /紅香 *「キン」というオノマトペが効果的。 /魚返みりん -庭のアジサイを切っている音でしょうか /つね子005: 麦秋や母が歌へば子もうたひ 智子
*麦が揺れる感じ、親子が歌いながら少〜し揺れる感じ、そこがいいナと、思 った句。 /玲 *この季節、麦畑に沿った道を歩けば自然に歌が出てきます。母と子のいい関 係がうかがわれます。 /舞九 *親子の微笑ましい景。背景である麦秋がこの句では生きている。 /良耶 *母の歌う声につられて子たちが歌いだす。微笑ましい良い光景です。 /由人 *ほほえましい情景です。 /茉胡 *遠くまで広がる、黄金色の麦畑。広すぎて,何かさびしい。歌を歌いたくなる。 景色が見える良い句だ。 /遊耳 *のどかな親子の風景です。うたひと旧かなづかいができています。 /紅香 *どんな歌だったのでしょうか。明るい歌詞だったのではないかと思えるのは、 季語「麦秋」の効果ですね。 /都006: 真夜の店内緒話のあまめかな 良耶
*音並びがよい。「の」が続くとひっかかりを覚えることがあるが、この句の 場合にはそこが良い。 /魚返みりん *ゴキブリは二十年も見たこともないが悪さもしないようなのにやっぱり嫌わ れますね、愉快な句です /つね子007: どくだみや悪戯好きの汚れなさ 都
*幼児の純粋な興味、大切にしたいものです。 /文雄 *どくだみ茶にして飲めば体の汚れも落としてくれそうですね。 /百桃008: 草引くや猿除けネットに守られて 文男
*最近猿除けネットよく見かけます。獣たちが里に近づいてきた証しです。草 取りも用心が必要です。 /由人 *駆除するより、食物が食べられないように、電気柵やネットで守るしかない。 /遊耳 *山間部の畑地にはイノシシやサルがでてかなり深刻な被害があるようです。 とりわけサルは智恵があるので農家の方は手を焼いているとか。そんなサルへ の対策がこのネットなのでしょうが、農家の人は自分がサルたちから観察され ているような錯綜した気分にもなることでしょう。 /龍夜009: 火蛾なれや天井ひとり腹這ひて 良耶
*天井を腹這いになっているのは火蛾だろうか、それとも私なのだろうかどち らともとれるがおもしろい /つね子010: 鳥かごにとり語飛び交う麦の秋 由人
*飼っている鳥は数匹。だから「とり語」。詠み手もその中に参加しようとし ている。「鳥かご」と「とり語」がダブってイメージされるかも知れないが、 この句では場をこの「鳥かご」で焦点化していると鑑賞した。 /良耶 -鳥かごですか・・・鳥も平和に暮らしているようです。 /紅香 *文鳥にインコに鳥語有りと思いました。 /のそう011: 娘(こ)が渡すバラの花びら朝の風呂 紅香
*朝風呂は好きだがこのような事は全く経験がない。まるで映画の一シーン。 /良耶 *な、なんという光景でしょう。少女漫画か、王侯貴族の生活観。 /日常 *贅沢なプレゼント。娘でより情景があでやかになった。 /遊耳 *思いもかけないバラ風呂に入ること出来て幸せ。 /百桃012: 堰切った八十八夜の用水路 文雄
013: 一つずつ疣の生きてる蟾蜍(ひきがえる) せいち
*ちょっと気持ちが悪いが、よく観察しているようにも思える。 /舞九 *そうか!醜さの象徴と思っていた疣は、例えば、不気味さで生きていたのか も。 /遊耳 *着眼点が良い。「一つずつ」の言い換え、「生きてる」の言い方の是非はあ りそう。ただそれらが気にならないくらいに着眼点に脱帽。 /魚返みりん *蟾蜍の疣一つずつがいきているという写生がおもしろい /つね子 *一つひとつの疣が生きているというのが凄い見立てですね。ヒキガエルの生 命力を感じた一句です。「一つずつ」「生きてる」と口語で表現したかった俳 句ですね。 /都014: 五月果つワクチン予約繰り返し 文雄
-今年はこのワクチン予約が流行語大賞になるのではないでしょうか。こんな ことをやっているうちに五月も果てましたね。 /都015: ほうたるの無明の闇を照らしたる 春生
-蛍がいましたか・・・暗い夜です。 /紅香 -中七の「無明の闇」がいいです。 /都016: 台所床の上にはバラの花 紅香
017: 採血のうすき針あと半夏雨 智子
*コロナのワクチン接種でこのような句が生まれた。普段気にしていない採血 の針あと。なんとなく鬱陶しい半夏雨の頃です。 /由人 *結果を待つ不安な気持ち。 /茉胡 *「うすき」「半夏雨」の取り合わせが優しくて良い。 /魚返みりん *「針あと」といっても小さな点状のものではなく、周辺に薄く広がった内出 血の痕かと思いました。脱線しますが、私は昨日受けたコロナウィルスワクチ ン接種のあと、ちょっと痛いです。 /龍夜018: ホバリングお尻の重い熊ん蜂 龍夜
*熊ん蜂の観察力、とっても楽しい!思わず、触りそうになる?? /玲 *まるで童話のような熊ん蜂の世界、お尻が重そうに見えますね。 /由人 *あの飛行速度でも鳥に捕獲され尽くされもせず、生存しつづけてこられた要 因への興味は、残りますね。 /日常 *よんでいるだけで楽しくなる句。「ボバリング」のインパクトが清々しい。 /魚返みりん -ホバリング、なるほど /つね子 *一読して、あんなに怖い熊ん蜂が、なんだか滑稽だな、と思いました。ホバ リングもそんなに困難だったんだ、と思うとがんばれとエールを送りたくなり ました。中七の措辞がいいですね。 /都019: 一つづつ忘れゆく朝蓮の花 玲
*年齢を重ねると誰しも同じです。 /文雄 -色々な読み方をしました。蓮の咲く時のあるかなしかの音が想像できます。 /智子 *詠み手の事か、それとも身近な人の事か。「蓮の花」が上五中七の措辞の下 地だろう。少し気になったのは「朝」まで必要かどうか。「蓮の花」と朝は重 なりが見られる。さらに「はちす」と省略しても句意は伝わるのでは。 /良耶 *忘却に悲哀が有ると思いました。 /のそう *深読みしたくなるような上五中七でした。「一つづつ忘れゆく朝」の怖さが 身近に迫ってくるようでした。蓮の花という季語にはあちらの世(彼岸)を感 じ、ますます怖くなるのですが、惹かれる景色ですね。 /都020: 蛍や夢の夫は無口なる 茉胡
*夢でしか会えなくなったのでしょうね。切ない句ではあります。 /舞九 *既に旅だった詠み手の夫が夢に。生前はあんなに饒舌だったのが無口の姿。 季語「蛍」に余韻を託している。今回の句会で最も惹かれた句。 /良耶 *夢に音声と色が付いていた記憶はない。わすれちゃっただけなのかなぁ。 /日常