最南端アイランド

(長野県 → 沖縄県)

ついにやった。俺はやり遂げた。
四国・九州から帰った私は達成感で満ち足りていた。
「これで全都道府県制覇できた!」
これで心置きなく2CVを手放せる。
しかし、日本地図は無情にも浮かれている私を打ちのめす。
そう。「全都道府県制覇」を名乗るためには
「沖縄県」という県があった。
それはあまりに大きなハードルだった。
沖縄まで2CVを連れて行くのには
莫大な資金が必要だった。
自分は行けない。
そう悟った2CVは私に「車載自転車」と
「あるもの」
を託した。

沖縄は遠い。とんでもなく遠い。
普通であれば飛行機で行くのであろう。
しかし、今回は「母艦」である2CVを置いていくわけだから、
今まで拒んできた「宿泊施設」も利用せざるを得ない。
(テントを張って野宿するなんて根性はない)
今までの旅とは勝手が違う。金もいくらかかるのか見当もつかない。
少しでも安上がりな方法で沖縄までたどり着きたい。
と、いうわけで「フェリー」を利用することにした。


とはいえ、それは非常に時間のかかる手段だった。
まず自宅から「車載自転車」に乗り、最寄の駅に向かった(約10キロ)。
この時は雪が積もっていた。そして電車とバスで有明埠頭へ。
(自転車は折りたたんでバッグに詰めて手荷物としていた。凄まじく重い!)
ようやくフェリーに乗り込み、九州の志布志、奄美大島を経由。
出航から実に46時間後、ついに沖縄に上陸を果たした。


あーあ。目標達成。か〜えろっと!
・・・ではない。ただ沖縄に来ただけでは満足できない。
それじゃあ2CVに怒られちゃう!

更なる南へ


沖縄本島からフェリーで「宮古島」を経由し、「石垣島」に向かう。
一泊二日を船内ですごした。
この船がまた汗臭い。しかもゆれまくり。げろげろ!
そして「石垣島」から小さな船で2時間。
恐ろしいほどゆれる船で命の危険を感じた。
ついに上陸したこの島こそ日本最南端の島、「波照間島」である。


あいにくの雨だったが「車載自転車」を組み立て、
この島の「南の端」に向かった!


島に上陸したとたん、甘〜い香りがした。砂糖の工場があるからかな?
島中にサトウキビ畑があった。


雨天だったにもかかわらず、このとんでもなく美しい海は一体・・・?


あ、ヤギだ。島中のいたるところで見かけた。
みんな野放しになっているけどいいのかな・・・?


そして、ついに見えてきたのが「日本最南端」の地だった。


私は懐から2CVに託されたある物をさっそうと取り出した。
たとえ財布を落としても、これだけは落とすまいと
大切に持ってきたものである。今までの雨天が嘘のように晴れた。
なにやら神々しいものを感じ、身震いした。


見よ2CV!これが日本の最南端だ!
注:手にしているのが2CVに託されたシフトノブです。


2CVも草葉の陰で喜んでいることだろう。


このためだけに沖縄に来たといっても過言ではない。
撤収!


撤収!とか言ってホントはこのあと西表島に立ち寄っている。
ところで、一番最初に沖縄本島で泊まったホテルが朝食付きで一泊5800円。
これが最も値段の高い宿となった。
その後は安い宿を見つけ出す奥義を編み出し、
2000〜4000円の宿を中心に利用した。
一番安かった所は一泊1500円だった。
とはいえ、「宿が見つからなかったらどうすんの?」的な恐怖感が
常に付きまとい、2CVのありがたみが骨身にしみる旅となった。
ちなみに、どんなに安い宿でもクーラーは必ずあった。逆に暖房は一切なく、
一度、嵐でずぶぬれになったのにクーラーしかなく、凍え死ぬかと思った。