ある田舎の片隅にそれはある。
畑のそのまた向こう側にそれはある。
ちょうど車が一台だけ入るような小屋だ。
みんなそこに小屋があることは知っているが、
小屋に何が入っているかなんて、
だれも気にもとめていない。

ある日、私は、娘にその小屋をあけて見せてやった。

すっかりホコリだらけになったそれを見て、
まだ幼い娘は私の肩の上でつぶやいた。
「きたないくるま〜!?」
私は答えた。
「この車はね。かつて・・・
そう。かつて・・・」

行こうよ!
行くぞ!
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